一人でいると、いつまでも考え込んでしまいそうだ。
エアコンや照明を消し、二階へ上がる。自室にこもった。
勉強机の椅子に座り、携帯のアプリを起動する。『キリ』の二文字が目に入った。
「付き合う意味、か」
横内への未練を断ち切るためとは、答えられなかった。
恋人を作る資格が、お前にあるのかと責められる気がした。
「あー、面倒くさいなあ」
悩む自分に、うんざりしてくる。
携帯を握り直すと、勢いに任せて、文字を打ち込んでいった。
家族の戻りは、明後日だ。
何事も、行動あるのみ。
『明日、忙しいですか?』
送るとすぐ、きーさんから返事がきた。
『暇してるよ』
笑顔の絵文字付きだ。
『会いません?』
『ラブホテルだったら、行かないけど?』
『きーさんの家へ、泊まるなら?』
『あの二人に触発された?』
どうやら、きーさんも横内たちの現状を把握しているみたいだ。相良さんに聞いたのだろう。
両足をブラブラさせていたら、またメッセージが届いた。
『添い寝してくれるなら、来ていいよ』
『しませんけど、行きたいです』
ウィンクする黒猫のイラストが、送られてくる。
「よし」
了承を得た。
都合よく解釈すると、足を床に着いた。クローゼットからリュックを取り出し、泊まりの準備を始める。
俺にも恋人がいていいのだと、言い切れるだけの根拠を見つけに行こう。