12話 付き合う意味③

 一人でいると、いつまでも考え込んでしまいそうだ。

 エアコンや照明を消し、二階へ上がる。自室にこもった。

 勉強机の椅子に座り、携帯のアプリを起動する。『キリ』の二文字が目に入った。

 

「付き合う意味、か」

 

 横内への未練を断ち切るためとは、答えられなかった。

 恋人を作る資格が、お前にあるのかと責められる気がした。

 

「あー、面倒くさいなあ」

 悩む自分に、うんざりしてくる。

 

 携帯を握り直すと、勢いに任せて、文字を打ち込んでいった。

 家族の戻りは、明後日だ。

 何事も、行動あるのみ。

 

『明日、忙しいですか?』

 送るとすぐ、きーさんから返事がきた。

『暇してるよ』

 笑顔の絵文字付きだ。

『会いません?』

『ラブホテルだったら、行かないけど?』

『きーさんの家へ、泊まるなら?』

『あの二人に触発された?』

 どうやら、きーさんも横内たちの現状を把握しているみたいだ。相良さんに聞いたのだろう。

 両足をブラブラさせていたら、またメッセージが届いた。

『添い寝してくれるなら、来ていいよ』

『しませんけど、行きたいです』

 ウィンクする黒猫のイラストが、送られてくる。

「よし」

 了承を得た。

 

 都合よく解釈すると、足を床に着いた。クローゼットからリュックを取り出し、泊まりの準備を始める。

 

 俺にも恋人がいていいのだと、言い切れるだけの根拠を見つけに行こう。